前回の思い出アルバムは、ほんのり苦い「初PT」のエピソードでした。
そこから連想して、6人フルPTでのレべリングはどこで何を狩ったんだっけ?どんな感じだったっけ?と思い出そうとしたのですが、これが、なかなか思い出せません。
初めての6人フルPT。
サンド出身やバス出身の冒険者は、砂丘、という回答が多いのでしょうか。それとも、ラテーヌの池の周りのカニや、コンシュの曲がりくねった岩の迷路の袋小路にあるミミズ広場や、一時期はここに何人いるんだろってくらい大混雑していたコロロカだったりする方もいるんでしょうか。いずれもセカンドジョブ以降のレべリングでお世話になった場所ではありますが、ウィン出身の僕は、クォン大陸に渡航するより前に6人PTを経験したはずです。レベル帯を考慮に入れると、シャクラミのミミズ?なんだか違うような。
思い出せない「初の6人PT」に悶々としながらも、先に挙げたロケーションでのレべリングはわりと鮮明に思い出せます。
のんびりカニを狩っていたラテーヌの大きな池では、突然エレが沸いて大騒ぎになったこと。黒がレベル10か11で、まだPTを組むのは早いなあと思いながらウロウロしていたら突然誘われた先がコンシュのミミズ広場だったこと。どこでレベリングした時も「休憩にしましょう」と休憩タイムがあって雑談なんかしたりして。たわいもない会話なんだけど、会話が弾んで狩りの再開が遅れたりしたこと。そんな優しい時間のBGMは風の音だけだったこと。
三国周辺のエリアはそれぞれの景観にぴったりのBGMが流れます。でも、その次のエリア、タロンギ、ラテ、コンシュのBGMは風の音だけなんですよね。それどころか、ジュノ周辺の土地まではしばらく風の音以外のBGMが流れません。それがまた、荒野に投げ出された感というか、ぬくぬくとした故郷から厳しい冒険生活へ歩を進めた感があって、絶妙な演出だなあと今でも思います。BGMがないエリアがあるからこそ、BGMのあるエリアのイメージが際立つ気がするからです。
そして、あの吹きすさぶ風の音が脳内で再生された途端、突然思い出しました。
そう、風の音。
その風の音の記憶は、戦闘中のものではなく、走って逃げた先のブブリムのものです。ブブリムにエリアチェンジしたら、すごく風が強くて、知らない土地で、この先には何があるんだろうって。
ああ、そうだ、思い出した。僕の「初の6人PT」は、タロンギでのダルメル狩りでした。
ベテラン勢らしきタルタルの2人組に誘われて参加したダルメル狩り。「何かあったらエリアチェンジできるように」と、キャンプ地はブブリムとの境あたり。リンクしたら、あるいは処理できない強いモンスターに絡まれたらエリアチェンジするというのが、当時の「当たり前」でした。実際、そのときも3回か4回ブブリムに駆け込むことになってしまった気がします。
まだタロンギから先に進んだことのなかった僕は、ブブリムにエリアチェンジする都度、この先には何があるんだろうとひどく気になったものです。そびえる白い岩に視界を阻まれ、その岩を縫うように続いていく道と、強い風の音。
今、聴いてみると、タロンギもブブリムも風の音に差異はなさそうですが、視覚的な効果か、戦闘BGMが直前まで流れていることが多かったからか、とにかくブブリムは「風が強い土地」という印象を持ちました。
この先に行ってみたいな、何があるのかな、とソワソワしながらキャンプ地のタロンギに戻ったことを覚えています。そして、PT解散後に1人でこっそり先ほどの道の先に行ってみようという企ては、「全員でウィンに帰りましょう」というベテラン勢の言葉の前にあっけなく阻止され、「この先に行ってみたいです」と言い出せないまま帰路についたのでした。
1つ思い出したら、なんだか記憶の糸が勝手に手繰り寄せられるような感覚に陥って、次々と色々なことが思い出されます。
初めての6人PTの後どうしてもブブリムに行きたくで、日を改めてソロでブブリムに突撃したこと。そして、OP前あたりでゴブリンに見つかってウィンダスに死に戻ったこと。
何度か挑戦したものの、その都度OP付近のゴブリンやら夜は骨やらに絡まれて、どうしても先に進めず、とうとうウィンでシャウトするという暴挙に出たこと。
「ブブリムの先に行ってみたいけど1人で何回も失敗してます。どなたか一緒に行きませんか?」と切々と訴えたら、2名の先輩冒険者さんからすぐにテルがきて、3人で出発したこと。
1人で突撃した時は、ビュービューと砂嵐みたいな天候だったり、雨が降っていたりしたのに、3人で進んだブブリムはなぜか快晴で「道がひらけた」ような感覚だったこと。
進んだ先にもダルメルがいて、ダルメルはどこにでもいるモンスターなんだなあと勝手勘違いしたこと。
道中「セルビナにでも行きたいの?」と訊かれ「この先がどうなっているのか知りたかっただけです」と素直に答えたら、海を渡った先はPTが組みやすいよと教えてもらって、そのまま3人で船旅に出たこと。
初めての渡航で船室に篭もってブルブル震えていたのは、一緒に来てくれた先輩冒険者さん達が「海賊」だの「シーホラー」だのの話をして、僕を散々怖がらせたからであること。
セルビナに着いて、その2人にはお礼を言って別れて、1歩外に踏み出したら砂丘が真っ白で眩しすぎてそのまましばらく立ち尽くしたこと。そして、ここでもヒュウヒュウと風が吹いていたこと。
セルビナに向かうとき親切な人達に助けてもらったことは覚えていたのですが、その前後がこんな繋がりだったことはすっかり忘れていました。
「クリミナルマインド」という、FBIのプロファイラー達が事件を解決していくサスペンスもののドラマがあるですが、この中でよく捜査官が、事件関係者達に当時のことを鮮明に思い出してもらうために「目を閉じて、そのときの音は?匂いは?」と誘導するんです。それを見て「そんなに鮮明に思い出せるもんかな」という疑念がずっとありました。
うん、疑ってごめんなさい。匂いなんてない、音だけでもこれだけ思い出せました。人間の5感の記憶は脳にちゃんと刻まれているんだあと実感。色々思い出しすぎて、この数日は当時を再体験している気分でした。
今回の脳内記憶巡りで気付いたのですが、ウィン出身にも関わらずかなり早い時期に出奔し、クォン大陸に渡った僕の初心者の頃の思い出は、大概、風の音がします。
1. 無題
そうそう、パーティに必ずあった「休憩タイム」。「飲み物とってきま〜」「私はアイスw」「こんな時間に食べると太るよw」みたいな他愛ない会話がどの野良PTでもいつもありましたね。
そして狩りのあとは全員で町まで帰るというのも懐かしい!道中誰かが絡まれると戦士さんあたりが颯爽と挑発してくれたり、その時倒した敵のアイテムが走ってる途中でカバンに流れてきたり。
サルタにエリチェンした瞬間にあののどかな音楽が聞こえると、やっとホッと肩の力が抜けたことも。
ブブリムに入ってOPまでなんて数歩の距離のような気がしてたけど、そうでした、サポなしの頃は怖くてなかなか辿り着けないドキドキの道でした。
知らないものや見たことないものばかりだったあの時代は、今よりもさらにヴァナが広い広い大きな世界に感じられていたんだなあ、という感慨と共に、私もあの頃の興奮を思い出してすごく幸せな気持ちになりました。いつもいつも素敵な文章、ありがとうございます!!
みやぴん様
>サルタにエリチェンした瞬間にあののどかな音楽が聞こえると、やっとホッと肩の力が抜けたことも
わかります。あの、荒野のイメージのタロンギからサルタに入ると、「ああ」って安堵のため息が漏れますよね。
> ブブリムに入ってOPまでなんて数歩の距離のような気がしてたけど
そうなんですよね。いま見るとたいしたことない距離だし、いまならレベル1のキャラでもスネーク並み(メタルギアソリッド)の隠密スキルでマウラまで余裕なんですけどねー。
いままで何十万人と言う冒険者がヴァナの地を踏んでいるはずで、僕が出会ったのはそのうちの1%にも満たないくらいの人達だと思うんですが、1度も一緒に遊んだことのない誰かと架空世界の思い出を共有できるってすごいなあと思います。